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筋トレ効果を最大化する負荷強度を解説|10回ギリギリが最適な理由

筋肥大効果を最大化する筋トレの負荷強度設定方法と回数を科学的根拠で解説するガイド記事のアイキャッチ
この記事で解決できるお悩み
  • 筋肉をつけるにはどれくらいの負荷がいいのか知りたい
  • 自分にとっての最適な負荷を知りたい
  • トレーニングしているのに効果を感じない

筋トレは限界になるまで追い込めば、どんな負荷でも効果が出るわけではありません。

効率よく筋肥大を促すためには、自分の体力レベルに合った適切な負荷強度で行うことが重要です。

この記事では科学的根拠と実践経験に基づいて、筋肥大に最適な負荷強度と設定方法、そして継続的に筋肥大をするための負荷の上げ方をわかりやすく解説します。 

パーソナルトレーナー Seiya Sato のプロフィール画像(JBBF、Muscle Gate入賞・NSCA-CPT)

この記事を読むことで、自分に合った負荷の見つけ方がわかり、効率的なトレーニングを今すぐ始められるようになります

専門的な知識がない初心者でも実践できるように丁寧に説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。

なぜ筋トレは適切な負荷強度の設定が必要なのか?

筋トレの効果は、自分にとってどれくらいの「強度(負荷の大きさ)」で、どれくらいの「トレーニング量(反復回数・セット数)」を行うかによって大きく変わります。

反復できる回数は強度によってある程度決まるため、強度はトレーニング量にも直接な影響を与えます。

つまり、負荷の強度は筋トレの効果を決める最も重要な要素であり、成果を出すためには適切に設定する必要があります。 強度(負荷の大きさ)とトレーニング量(回数・セット数)の組み合わせが筋トレ効果を決めることを示した図解

例えば、負荷が重すぎると反復できる回数が少なくなり、トレーニング全体の量(総負荷量)が低下するため、効率的な筋肥大効果は期待できません。

反対に負荷が軽すぎると、筋肉への刺激(機械的張力)が弱くなるので、疲労困憊になるまで非常にたくさんの反復しなければ筋肥大効果は望めません。

このように、効率よく筋肥大を促すためには、自分にとって重すぎず軽すぎない「ちょうどいい負荷」に設定してトレーニングをする必要があります。

では実際に、筋肥大に適したちょうどいい負荷強度はどれくらいなのか確認しましょう。

筋肥大が目的なら「10回がギリギリできる重量」が目安

負荷強度を決める際に参考になるのが、「負荷強度と筋トレ効果の関係」を示した以下の表です。

負荷強度別トレーニング効果比較表:1-5RMは筋力向上、6-12RMは筋肥大(効率最高)、12RM以上は筋持久力を示す科学的根拠に基づく表

※表は以下の文献を参考に作者作成 American College of Sports Medicine (2009)、NSCA's Essentials of Personal Training

はてな

「RM」とは「Repetition Maximum(最大反復回数)」の略で、筋トレにおいて強度を示す際に用いられます。例えば、「10RM」と書いてある場合、「10回ギリギリ反復できる負荷」ということを表します。

表を参照すると、筋肥大が目的としたトレーニングでは「6~12RM」、つまり「6~12回ギリギリ反復できる負荷(=重量)」で行うのが効果的だということがわかります。

ただし、実際のトレーニングにおいて「6~12RM」という範囲は体感に大きな差があり、目安とするには範囲がやや広めです。

また、フォームが安定していない段階では、強度が高めである6~7RMの負荷で効果的なトレーニングを行うは難しく、安全面のリスクも高まります。

実際、アメリカスポーツ医学会(ACSM)のガイドラインでも、筋肥大を目的とする場合、初心者向けには8~12RM、より経験を積んだ層には1~12RMの負荷強度が推奨しています。(ACSM, 2009)

以上を踏まえ、筋肥大を狙ってトレーニングを行う場合、強度の高い部分を少し除いた8~12RM=”10回がギリギリ反復できる負荷”を目安にするのが、初心者から中級者まで幅広く適用できる標準的な強といえます。

もし負荷設定で迷っている、これから筋トレを始めようと考えている初心者の人は、まずは「10回がギリギリ反復できる負荷」から始めてみましょう。

最新の科学的知見

最新の研究では、従来の推奨(6~12RM)よりも幅広い範囲の負荷でも、条件を揃えることで同等の筋肥大効果が得られることが明らかになっています。

ただし、軽い負荷(20RM〜)では非常に多くの反復回数が必要になるため、時間効率が悪く、精神的・肉体的な疲労感も強くなる傾向があります。

一方で、重い負荷(〜5RM)では反復できる回数が少なくなるので、総負荷量を確保するためにセット数を増やす必要があります。

その結果、トレーニング時間が長くなるだけでなく、関節への負担が大きくなり、怪我やオーバートレーニングのリスクを高めます。

こうした理由から、国際ストレングス&コンディショニング協会(IUSCA)は2021年の公式声明にて、幅広い負荷ゾーンで筋肥大は可能だが、中程度の負荷(6~12RM)によるトレーニングには最も実用的な利点があるとしています。(IUSCA, 2021)

このように最新の科学的知見からも「10回がギリギリ反復できる負荷」は、効果・時間効率・安全性・継続のしやすさという点で、バランスが取れた現実的な選択肢であるといえます。

筋肥大に適切な負荷の設定方法

それでは実際にトレーニングを行うために、「10回がギリギリ反復できる負荷」を設定する手順を確認しましょう。

STEP1:軽めの重量からスタートする

ウォーミングアップとフォームの確認をかねて、軽い重量で10回反復します。

バーベル種目はシャフト(20kg)から、ダンベル種目やマシンであれば余裕をもって10回できる重量で行いましょう。

例:ベンチプレス
1セット目:シャフトのみ(20kg)×10回(非常に余裕がある) 

STEP2:10回反復できたら、少し重量を上げる

フォームを崩さすに10回反復ができたら、次のセットでは少し重量を上げます。

上げる重量は、バーベルなら2.5kg、ダンベルなら1~2kg、マシンなら1段階ずつ増やします。

種目・器具 重量の上げ幅(目安)
バーベル種目 +2.5kg(左右に+1.25kgずつ)
ダンベル種目 +1~2kg
マシン種目 +1段階(微調整が可能であれば+2.5~5kg)

明らかに10回反復ができそうなら、数回でやめて次の重量に進むか、重量の上げ幅を増やしても問題ありません。

2セット目:30kg×5回(明らかに10回できる)
3セット目:35kg×10回(まだ少し余裕がある)

STEP3:10回がギリギリ反復できる重量になるまでSTEP2を繰り返す

2分の休憩を挟みながら「10回反復できたら重量を少し重量を上げる」工程を繰り返し、10回がギリギリ反復できる重量になれば設定終了です。

もし重量を上げて10回以下になってしまったら、1段階前の重量に設定し実際のトレーニングを始めましょう。

適切な負荷に設定するために、必ず正しいフォーム、動作範囲でできた回数のみをカウントしましょう。

4セット目:37.5kg×10回(もう少しできそう)
5セット目:40kg×10回(ギリギリ10回できた)←ここで設定終了
6セット目:42.5kg×7回(7回で限界)

実際の例(ベンチプレス)をまとめると以下の表のようになります。

ベンチプレスで負荷を設定する手順の例。軽い重量から始めて、フォームが安定した状態で10回ギリギリできる重量まで段階的に上げていくプロセスを図解。

筋肥大を継続させる:漸進性過負荷の原則と負荷の上げ方

筋トレの効果を継続的に出すためには、一度適切な負荷に設定しておしまいではなく、自分の成長に合わせて負荷を徐々に増やす必要があります。

これは専門用語で漸進性過負荷の原則(Progressive Overload)といい、筋トレの効果を継続的に得るために最も重要な原則の1つです。

階段状に進むトレーニングの流れを使って、漸進性過負荷の原則を視覚的に表した図。負荷を徐々に高めながら筋肉の成長を促すことを示している。

この章では、理想の身体になるための負荷の上げ方を具体例も踏まえて解説します。

特に、トレーニングを継続しているのに変化を感じない人は、この原則に則ったトレーニングができていないことが非常に多いので、実践できているか確認しましょう。

なぜ負荷を徐々に増やす必要があるのか?

なぜ負荷を増やす必要があるのかというと、同じ負荷のままトレーニングを続けていくと、トレーニングの効果が徐々に薄れてきてしまうからです。

一度「10回が限界の負荷」に設定したとしても、トレーニングを続けていくうちに余裕をもって10回できるようになります。

これは身体が今の負荷に適応し、筋力や筋肉量が向上したためです。

しかし、余裕をもって10回できるということは、今の負荷はその人にとって筋力や筋肥大を促すのに十分な負荷ではなくなってしまっています。

そのため、身体が今の負荷に適応したタイミングで、負荷を少し上げて適切な負荷に調整し直す必要があります。

そして、このプロセスを繰り返しながらトレーニングを続けることで、筋肉を継続的に大きくすることが可能になるのです。

それでは、どのように負荷を上げていけば良いのか確認しましょう。

負荷を上げる時の抑えておくべきポイント3つ

負荷をむやみに上げてしまうと、身体がうまく適応できず、かえってトレーニング効果が落ちてしまうこともあります。

そのため、負荷を上げる際は以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

ポイント

  1. 何を上げるのか?
  2. どのくらい上げるのか?
  3. どのタイミングで上げるのか?

それぞれ確認します。

何を上げるのか?→「重量」のみを上げる

筋トレでは「重量・回数・セット数・頻度」といった変数を変えることで、負荷を調整することができます。

この中でも、まずは「重量」のみを徐々に上げていきましょう。

回数を増やすことでも筋肥大効果を得ることはできますが、先述の通り10RM前後になるように重量を調整する方が効率的です。

どれくらい上げるのか?→段階的に少しずつ

「漸進性過負荷の原則」の”漸進性"とは、「(急にではなく)段階を追って少しずつ」という意味です。

つまり、負荷は”少しずつ上げる”のが非常に重要です。

負荷を一気に上げてしまうと、身体が適応しきれず、トレーニング効果の低下や怪我をするリスクを高めます。

例えば、ベンチプレスの10RMが60kgの人が、70kgでトレーニングを試みたとします。

「10kgしか違わない70kgなら4~5回はできそう」と思うかもしれませんが、この人の場合、実際には1回ギリギリ反復できるかどうかです。

これでは目標である10回よりも反復回数が極端に少ない(=筋肉への刺激が少ない)ので、筋肥大効率が大きく下がります。

このように極端に反復回数が減らないように、負荷はできるだけ少しずつ上げることを意識しましょう。

具体的には、現在の環境で増やすことができる最小単位を上乗せします。

以下の表のように、使用する器材に応じて重量を調整しましょう。

種目・器具 重量の上げ幅(目安)
バーベル種目 +2.5kg(左右に+1.25kgずつ)
ダンベル種目 +1~2kg
マシン種目 +1段階(微調整が可能であれば+2.5~5kg)

先ほどの例の場合、2.5kgを加え62.5kgでトレーニングを行います。

この重量であれば10回近く反復ができはずです。

どのタイミングで上げるのか?→全てのセットで10回が反復できたら

10回3セットというメニューの場合、1~3セット目まで全てのセットで10回反復ができたら、次のトレーニングでは少し負荷を上げます

1セット目だけ10回できた段階で負荷を上げてしまうと、2,3セット目の反復回数が少なくなりやすく(=総負荷量が減る)、トレーニング効果が低下します。

急がば回れ、全てのセットが10回反復できるようになってから負荷を上げましょう。

正しいフォーム、動作範囲で反復できた回数のみをカウントしましょう。

筋肥大を継続させるトレーニングの進め方

実際のトレーニングでは、必ずしも毎回目標を達成して負荷を上げられるわけではありません。

そのため、トレーニングの結果に応じて、次回は負荷を上げる・維持する・下げるのかを判断する必要があります。

ここではベンチプレスで「40kg × 10回 × 3セット」がクリアできた人が、「42.5kg × 10回 × 3セット」に挑戦した場合を例に、トレーニングの進め方を解説します。

負荷の上げ方をより具体的に理解するために、実際のトレーニング例を見てみましょう。

パターン①:目標を達成できた

目標が達成できた場合は、重量のみを少し上げます

→次回は45kg×10回×3セットに挑戦する。(バーベル種目なので+2.5kg)

パターン②:目標を達成できなかった

目標が達成できなかった場合は、次のトレーニングでも同じ重量に再挑戦します。

例:「10-10-8回」、「10-9-7回」、「8-7-6回」など

→次回も42.5kg × 10回 × 3セットを目標にトレーニングを行う。

再挑戦の結果によって、次の行動が以下の3つに分かれます。

パターン③:再挑戦で達成できた場合

再挑戦であっても達成できたのであれば、それまでと同じように次のトレーニングでは重量を少し上げます。

→次回は45kg×10回×3セットに挑戦する。

パターン④未達成だが回数が増えた場合

前回よりも3セットの合計回数が増えているのであれば、筋力が伸びている途中段階です。

合計回数が増えている間は同じ重量でトレーニングを続け、少しずつ回数を増やし10回3セットの達成を目指しましょう。

例:「10-9-7回→10-10-8回」、「8-7-6回→9-8-6回」など

→次回も42.5kg × 10回 × 3セットを目標にトレーニングを行う。

再挑戦中に目標が達成できたら、次のトレーニングでは負荷を上げます。

パターン⑤2回連続で回数も増えなかったor下がった場合

2回連続で3セットの反復回数の合計が前回と同じか下がった場合は、1度重量を下げてトレーニングを行います。

例:「10-10-8回→10-10-8回」、「10-9-7回→9-8-7回」など

この状況はフォームの乱れや疲労の蓄積などが原因として考えられるため、一度重量を落とし、フォームの見直しと疲労の回復を図ります。

→次のトレーニングでは一度重量を落とし、40kg×10回×3セットを目標にトレーニングを行い、達成できたら再度42.5kg×10回×3セットから挑戦し直します。

ポイント

一時的に負荷を下げてトレーニングを行うことを「ディロード」と言います。重量を落とすことに抵抗があるかもしれませんが、上級者も使うテクニックなので、勇気を持って一度重量を落としてみましょう。

ここまでの進め方を表にまとめると以下のようになります

トレーニングの結果 次回の負荷設定
42.5kg × 10回 × 3セット達成 45kgに進む
42.5kg × 10回 × 3セット未達成 42.5kgで再挑戦
→ 再挑戦で達成 45kgに進む
→ 回数は増えたが未達成 42.5kgで継続
→ 回数も増えなかった/減った 40kgに一時的に戻す

負荷の上げる際の注意点3つ

負荷を上げる際には、トレーニングの効率や安全性を損なわないよう以下の3つの注意点を守りましょう。

注意ポイント

  1. 正しいフォームで行う
  2. 動作範囲を狭くしない
  3. 重量は少しずつ上げる

1つずつ確認します。

正しいフォームで行う

負荷を上げても、負荷を上げても、正しいフォームで反復することを優先しましょう。

最初は我流のフォームの方が重い重量を上げることができるかもしれませんが、鍛えたい部位を適切に刺激をすることができません。

そのため、間違ったフォームでのトレーニングは長期的には効率が悪く、怪我のリスクを高めます

動作範囲を狭くしない

負荷を上げても、負荷を上げても、動作範囲(可動域)を狭くしないようにしましょう。

動作範囲を狭くしてしまうと筋肉への刺激が少なくなり、部位によっては筋肥大効果が低下します。

また、動作範囲を狭くしないと反復できないような高負荷でのトレーニングは、フォームの崩れを引き起こし怪我のリスクを高めます。

負荷が上がってくると、動作範囲を狭くしてしまいやすいので注意しましょう。

同じフォーム、同じ可動域で重量が上がっていくことが真の成長の証です。

重量は少しずつ上げる

重量は必ず少しずつ上げるようしましょう。

負荷を急に上げると、フォームの崩れや可動域の制限を引き起こす原因になり、筋肥大効率が低下するだけでなく、怪我のリスクを大幅に高めます。

どんなに遺伝的才能がある人でも、トレーニングの度に重量や回数が増えるわけではありません。

焦らず自分のペースで着実に負荷を上げていきましょう。

特に重量を上げたタイミングで反復できる回数が極端に減る場合は、重量を上げ過ぎか負荷設定がうまくできていなので、もう一度負荷設定からやり直すことをおすすめします。

特に重要なのは怪我をしないことです。怪我をしてしまうとトレーニングの継続が難しくなります。

長期的な筋肥大を実現するためにも、これらのポイントに注意して怪我のリスクを抑えてトレーニングすることが大切です。

まとめ:適切な負荷強度で筋肥大効果を最大化しよう

今回は効率的な筋肥大を実現するための負荷強度と負荷の上げ方について、科学的根拠も踏まえ詳しく解説しました。

まとめ

  • 筋肥大には「6~12RM」の負荷強度が効率的
  • 初心者は「10回がギリギリ反復できる重量」を目安に始める
  • 負荷は慣れてきたら少しずつ上げる

筋トレの効果は、「どれくらいの負荷強度」でトレーニングするかによって大きく変わります。

自分の体力レベルに合った負荷でスタートし、無理のないペースで負荷を高めていくことが、理想の体に近づく最短ルートです。

まずは「10回がギリギリ反復できる重量」を設定し、正しいフォームで効率的なトレーニングを継続しましょう。

【参考文献】

・American College of Sports Medicine. (2009). Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults. Medicine & Science in Sports & Exercise, 41(3), 687-708. DOI: 10.1249/MSS.0b013e3181915670

・International University Strength and Conditioning Association. (2021). Resistance Training Recommendations to Maximize Muscle Hypertrophy in an Athletic Population: Position Stand of the IUSCA. International Journal of Strength and Conditioning, 1(1). DOI: 10.47206/ijsc.v1i1.81

・Coburn, J. W., & Malek, M. H. (2011). *NSCA’s Essentials of Personal Training* (2nd ed.). Human Kinetics.
(日本語訳監修:森谷敏夫ほか『パーソナルトレーナーのための基礎知識 第2版』NSCA JAPAN)

  • この記事を書いた人

せいや

20代中盤まで運動経験がほぼない状態から筋トレを本格的に始め、複数の大会で入賞。JBBF関東メンズフィジーク9位、マッスルゲート仙台大会クラシックフィジーク2位などの実績を持つ。 パーソナルトレーナーとして指導歴8年・NSCA-CPT資格保有・月1,000件以上のセッションを担当。noteでは月間3万PVを達成し、YouTubeでもトレーニング解説を発信中。

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