- ✔ 筋トレのインターバル(休憩時間)の目安はどれくらい?
- ✔ 筋肥大に効率のいいインターバルの長さを知りたい
- ✔ 自分にとって最適なインターバルの長さを知りたい
筋トレにおいて「レストインターバル(セット間の休憩時間)」は意外と軽視されがちです。
しかし、インターバルの長さは筋肥大や筋力向上に大きく影響し、目的やレベルに応じて長さを調整すれば、筋トレの効果を高められることがこれまでの研究で繰り返し報告されています。
そのため、効率よく効果を出すには、負荷(重量)やセット数だけでなく、インターバルも適切に設定する必要があります。
この記事では科学的根拠と実践経験に基づいて、自分にとって最適なインターバルの取り方をわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、自分の目的に合ったインターバルの目安がわかり、効率的なトレーニングを今すぐに始められるようになります。
専門的な知識がない初心者でも実践できるように丁寧に説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
筋トレのインターバル(休憩時間)の目安は「2分」
筋トレの効果を最大化するには、適切な重量で各セットできるだけ多くの回数を行い、総負荷量を高めることが重要です。
そのためには、セット間の休憩は少なくとも2分を目安としましょう。
「少なくとも2分」としているのは、トレーニングの種目や強度、疲労の度合いによって最適な休憩時間が変わるからです。
ここでは、まず「なぜ2分が目安となるのか」その理由から詳しく解説します。
【前提知識】筋肥大の鍵は「総負荷量(ボリューム)」
筋肥大を目的としたトレーニングにおいて、最も重要な要素の1つが「総負荷量(ボリューム)」です。
総負荷量とは
「総負荷量」とは、1回のトレーニングで筋肉に与えた負荷の合計のことで、総負荷量=セット数×重量×回数で表すことができます。
例えば、ベンチプレスで50kgを10回3セット行った場合の総負荷量は50kg × 10 × 3 = 1500kgとなります。
この「総負荷量」が増えるほど筋肥大効果が高まる傾向にあることが、複数の研究によって裏付けられています。
そのため、筋肥大を最大化するためには、1回のトレーニングでいかに「総負荷量」を高めることができるかが非常に重要になります。
では、インターバルの長さがどのように総負荷量と関係するのか確認しましょう。
しっかり休むことで筋トレ効果が向上する
一般的なトレーニングでは、重量とセット数を決めたうえで、各セットでできるだけ多くの回数を反復し、総負荷量(=セット数×重量×回数)を高めることを目指します。
この時、インターバルが短かすぎると、疲労が十分に抜けていない状態で次のセットに入るため、セットが進むにつれて反復できる回数が少なくなってしまいます。
一方で、疲労がある程度抜けるまでインターバルを長くすれば、短い場合に比べより多くの回数をこなすことができます。
結果として、インターバルが長い方が総負荷量が大きくなり、筋肥大効果も向上します。
たとえば、ベンチプレスを40kg10回ギリギリできる人が、40kg10回3セットのメニューを行ったとします。
インターバルが短いと10回→8回→6回と少しずつ回数が減少しますが、しっかり休めば10回→10回→9回とほぼメニュー通りの回数をこなすことができます。
2つの総負荷量を比較すると前者は40×(10+8+6)=960kg、後者は40×(10+10+9)=1160kgとなり、後者の方が高くなることがわかります。
実際に、Schoenfeldら(2016)による無作為化比較試験では、トレーニング経験者を対象に、1分と3分のインターバルで筋肥大効果を比較したところ、3分休憩群の方が有意に筋肥大していたと報告されています。[Schoenfeld et al., 2016]
このように、筋肥大効果を高めるためには、各セットで全力を出せるようインターバルを長めにとることが有効であると言えます。
なぜ「2分以上」が筋肥大に最適なのか?
各セットで全力を出せるまでインターバルをとることが理想ではありますが、実際にはトレーニングに使える時間が限られている人がほとんどでしょう。
そのため、インターバルはできる限り制限しつつ、総負荷量を高めていくことが現実的です。
そこで参考になるのが、Grgicら(2017)のシステマティックレビュー(複数の信頼性の高い研究をまとめた分析結果)です。
このレビューでは、2分以上のインターバルをとることで総負荷量が高まり、筋肥大効果が大きくなる傾向があることが示唆しています。[Grgic et al., 2017]
さらに、2021年のIUSCA(International Universities Strength and Conditioning Association)の公式声明でも、少なくとも2分のインターバルが推奨しています。
これらの結果を踏まえると、筋肥大を目指す場合、まずはセット間のインターバルは「2分」を目安とし、状況に応じて調整することが効果的かつ現実的といえるでしょう。
ただし、先述のレビューや声明では、トレーニング種目や強度、疲労度などによって、インターバルを調整することでより効率的なトレーニングができることも言及されています。
そこで、次は種目によってインターバルをどのように調整すればよいのか解説します。
種目別のインターバルの目安
インターバルは、「種目」によって長さを調整することで、より効率的に筋肥大を狙うことができます。
種目別インターバルの目安
- コンパウンド(多関節)種目・・・少なくとも2分
- アイソレーション(単関節)種目・・・60~90秒でも可
先ほど紹介したIUSCAの公式声明では、コンパウンド種目(多関節種目)は少なくとも2分を推奨し、アイソレーション種目(単関節種目)は少し短くし60~90秒のインターバルを採用することができるとしています。
ここでは、それぞれの種目に応じたインターバルの目安と、その理由を解説します。
コンパウンド(多関節)種目の目安は「2分以上」
コンパウンド(多関節)種目は、1種目で複数の関節を使う種目を指します。
代表的なコンパウンド種目
- スクワット
- ベンチプレス
- デッドリフト
- 懸垂(チンニング)
- ショルダープレス
これらの種目は、複数の筋肉が同時に刺激され、1種目で効率よく多くの筋肉を鍛えることができるのが特徴です。
その反面、筋肉や神経系への疲労が大きくなるので、パフォーマンスを維持するためには、長めのインターバルが必要になります。
特に、筋トレ経験が長くなると高重量でのトレーニングとなるため、2分では回復が間に合わず、回数や重量を維持することが難しくなります。
このような理由から、コンパウンド種目は少なくとも2分、必要に応じて3~5分のインターバルを確保してトレーニングすることが推奨されます。
アイソレーション(単関節)種目の目安は「1分〜1分半」
アイソレーション種目は、1つの関節だけを動かして特定の筋肉に集中的に刺激を与える種目です。
代表的なアイソレーション種目
- レッグエクステンション
- マシンフライ
- サイドレイズ
- アームカール
- ライイングエクステンション
これらの種目は、コンパウンド種目に比べ関与する筋肉が少なく、扱う重量も軽めなため、身体への負担が比較的少ないのが特徴です。
そのため、やや短めの60~90秒のインターバルであっても、回数や重量をあまり落とさずにセットを続けられる傾向があります。
ただし、セットの後半や疲労が蓄積している場面では、60~90秒のインターバルでは回復が間に合わないこともあります。
そのような場合は、時間に余裕があれば必要に応じてインターバルを延ばし、パフォーマンスの維持を優先することが理想的です。
疲労・追い込み度合いによって調整する
一般的に、トレーニングでは1種目につき複数のセットを行うため、セットが進むにつれて疲労が徐々に蓄積します。
また、限界ギリギリまで追い込むと、それだけ身体への疲労が大きくなります。
そのため、1セット目より2セット目、2セット目よりも3セット目と、疲労・追い込み度合いが高くなるので、回復するまでの休憩を長めに取る必要があります。
例えば、スクワットを10回3セットを目標にトレーニングを行う場合を考えてみましょう。
1セット目は2~3回余裕がある状態で10回行うことができました。
2分のレストインターバルを取り、2セット目を行ったところ、10回でほぼ限界だったとします。
この場合、2分のインターバルで3セット目を始めると、ほぼ間違いなく10回はできません。
ただし、ここでレストインターバルを3分、4分と長くすれば10回はできないかもしれませんが、少なくとも2分の時と比べて回数は多くできるはずです。
合計回数を多くできればそれだけ筋肥大効果が高まるため、この場合はインターバルを増やした方がより効果的なトレーニングとなります。
このように、時間に余裕がある時は、疲労・追い込み度合いによってインターバルの長さを調整し、より効果的なトレーニングを行いましょう。
筋力を高めたいなら「3~5分」の休憩を確保しよう
筋力を効率よく伸ばすためには、筋肥大を目的としたトレーニング以上に、各セットのパフォーマンスを維持することが大事です。
そのため、筋力向上を目的としてトレーニングをする際のインターバルは「3~5分」を目安にとりましょう。
ここでは、筋力を伸ばす上で長めのインターバルが必要な理由と、筋力向上のためのトレーニングを取り入れるべき理由について解説します。
筋力向上もインターバルはしっかり休むことが大事
筋力向上を目的としたトレーニングでは、高重量を扱う必要があるため、筋疲労だけでなく神経系や心理的な負担も大きくなります。
そのため、重量や回数を落とさずにセットを継続するには、十分なインターバルを確保する必要があります。
de Sallesら(2009)の35件の研究をも総括したレビューでは、セット間に3〜5分の休憩を設けることで、複数セットにおいてより多くの反復回数をこなすことが可能になり、絶対的な筋力が大きく向上したことが示されました。[de Salles et al., 2009]
また、ACSM(全米スポーツ医学協会)も、筋力向上を目的とした場合の休憩時間として3〜5分を推奨しており、パワーリフター向けのトレーニングプログラムでも、3〜5分のインターバルが一般的に採用されています。
これらを踏まえると、筋力向上を高めたい場合は、すべてのセットで最大のパフォーマンスを発揮できるよう、少なくとも3分、可能であれば5分程度の休憩をとるのが望ましいと言えるでしょう。
筋力向上が筋肥大につながる
筋トレ初心者のうちは、筋肥大を目的としたトレーニングを行っていても自然と筋力も伸びていきます。
しかし、そのままのトレーニングを続けていくと、徐々に筋力の伸びが停滞し、それに伴って筋肥大効果も頭打ちになります。
この段階までくると、筋力向上を目的としたトレーニングの取り組みが必要です。
なぜなら、筋力が向上してトレーニングで扱う重量が増えれば、トレーニングの総負荷量(セット数×重量×回数)が高まり、結果として筋肥大にもつながるからです。

初心者は「1分〜1分半」のインターバルでも効果的
トレーニング経験が浅いうちは、扱う重量が比較的軽く、限界まで追い込むことも難しい傾向があります。
そのため、経験者に比べ疲労が少なく、インターバルをやや短くしてもトレーニング強度を維持できる場合があります。
先ほど紹介したGrgicのレビューでも、トレーニング未経験者は「1分〜1分半」のインターバルでも、総負荷量があまり低下せず、筋トレ効果も維持できるとしています。
基本的には2分以上のインターバルをおすすめしますが、筋トレ初心者で「できるだけ短時間で終わらせたい」という方は、まずは「1分〜1分半」のインターバルで行ってみてもいいでしょう。

インターバル中に何をするべきか?おすすめの過ごし方
インターバルの時間をうまく活用することで、トレーニングの効果や質をさらに高めることができます。
セットが終わりタイマーを開始したら、以下のような行動をルーティン化しておくのがおすすめです。
インターバルの過ごし方
- 水分補給
- トレーニングの記録を取る
- 次のセットへの準備
それぞれの内容について詳しく解説します。
水分補給を行う
タイマーを開始したら、次は水分補給を行います。
インターバル中の水分補給は、パフォーマンスの維持と安全性の確保において欠かせません。
筋トレ中は発汗により体内の水分が失われ、脱水状態になると筋力低下や集中力の減退を招く可能性があります。
特に夏場や長時間のトレーニングでは、より注意が必要です。
ただし、一度に大量の水を飲むと、お腹が重く感じたり、気分が悪くなる可能性があるため、セット間に少量ずつ補給するのが理想的です。

トレーニング記録をとる
水分補給をしたら、次は今行ったセットの記録をつけましょう。
記録をとるメリットは以下の3つです。
記録を取るメリット
- 次のトレーニングの目標が明確にできる
- 重量や回数の伸びを客観的に把握できる
- モチベーションの維持につながる
筋トレで継続的に効果を出すためには、自分のトレーニングの進捗状況を把握し、少しずつ段階的に負荷を上げていかなければなりません。(漸進性過負荷の原則)
そのためには、トレーニング内容を記録しておくことが非常に重要な習慣です。
鉛筆とノートでもいいですし、最近では無料のアプリでも便利なものがあるので、自分に合った方法で必ず記録はとりましょう。
次のセットの準備に入る
記録をつけ終わったら、息を整えながら、次のセットへ挑む精神的・身体的な準備に入りましょう。
高重量になればなるほど、限界に近いセットになればなるほど、それだけ気力や集中力を消耗します。
十分なインターバルをとったとしても、気力が戻らなければトレーニングの質は低下してしまいます。
直前のセットの振り返りやイメージトレーニングをしながら、次のセットへ向けて気力と集中力を高めていきましょう。

トレーニング時間を長くできない場合の対処法3つ
インターバルを長めにとると筋トレの効果を高めることができる一方で、トレーニング時間が長くなるというデメリットもあります。
仕事や家庭の都合で、毎回しっかりと時間をかけてトレーニングができる人ばかりではないと思います。
そこで、この章では限られた時間で効率よく成果を上げる方法を3つ紹介します。
筋トレ時間を短くするテクニック
- インターバルの長さを固定する
- 種目数を絞る
- 時短テクニックを使う(スーパーセット法・レストポーズ法など)
これらの方法は組み合わせることも可能なので、あなたの状況に合わせて取り入れてみましょう。
それでは、それぞれ詳しく解説します。
インターバルの長さを固定する
ここまでは種目や疲労度によってインターバルを長めに調整することを推奨してきましたが、トレーニング時間が限られている場合には、インターバルを固定するという手段も有効です。
インターバルを固定するメリットは、成長の度合いを把握しやすいことです。
インターバルの長さが毎回バラバラだと、重量や反復回数の伸びを正確に評価することが難しくなります。
たとえば、ある日はインターバルを長くとって10回できたとしても、別の日には短いインターバルで8回しかできない、ということが起きてしまうため、成長できているかどうか判断できません。
そこで、インターバルの長さを常に同じにすることで、条件のばらつきを減らし、パフォーマンスの変化を捉えやすくなります。
もしインターバルを固定するのであれば、コンパウンド種目では2分、アイソレーション種目では1分〜1分半に固定するとよいでしょう。
種目数を絞る
トレーニングで行う種目数を絞ることも、短時間で効率的に効果を出すために有効な手段です。
特に、筋トレ初心者は種目を絞って同じ動作を繰り返し、フォームを習得しつつ筋力を伸ばしていくことが重要です。
種目数が多すぎると、フォームの習得に時間がかかり、疲労の影響で筋力が伸びづらくなる原因となります。
そのため、多くの種目を行うよりも種目を絞り、インターバルを長めにとった方が、強度を維持しやすく効果的なトレーニングになります。
具体的には、1部位につき1種目、コンパウンド種目(多関節種目)を中心としたトレーニングを行います。
コンパウンド種目を中心にトレーニングすることで、少ない種目数で全身を効率的に鍛えることが可能です。
たとえば、下半身を部位ごとに鍛えようとすると3〜4種が必要になりますが、スクワットなら1種目でそれらの種目をほぼカバーでき、トレーニング時間の大幅な短縮につながります。
もし今、種目数が多くて時間が足らないと感じてる人は、一度思い切って種目を絞ってみるのもおすすめです。
時短テクニックをうまく活用する
どうしてもトレーニング時間が限られている場合は、以下のようなトレーニングテクニックを使うことで、短時間でも効果的な刺激を得ることも可能です。
代表的なトレーニングテクニック
- スーパーセット法(コンパウンドセット法)
- レストポーズ法
- ドロップセット法
ただし、これらの方法は筋トレにある程度慣れてきた方向けで、基本的なフォームや強度設定ができていることが前提となります。
また、現時点ではこれらのテクニックが従来のトレーニング方法(十分なインターバルを確保した通常のセット方式)よりも優れているという明確なエビデンスはありません。
そのため、初心者の方はまず「インターバルを固定する」「種目数を絞る」といった基本的な対策から始めてみることをおすすめします。
※レストポーズ法やスーパーセット法等の詳しい使い方については、別記事で解説予定です。
まとめ|インターバルを最適化して筋トレ効果を高めよう
今回は、筋トレ効果を最大化するための「適切なインターバルの取り方」について、科学的根拠をもとに解説しました。
インターバルの長さは、総負荷量やパフォーマンスに大きく影響し、筋トレの効果を左右する重要な要素です。
自分の目的や状況に応じて適切にインターバルを調整し、効率の良い筋肥大を目指しましょう。
【参考文献】
・Schoenfeld, B. J., et al. (2016). Longer Interset Rest Periods Enhance Muscle Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men. Journal of Strength and Conditioning Research, 30(7), 1805–1812. https://doi.org/10.1519/JSC.0000000000001272
・Grgic, J., et al. (2017). Effects of Rest Interval Duration in Resistance Training on Measures of Muscular Strength: A Systematic Review. Sports Medicine, 48(1), 137–151. https://doi.org/10.1007/s40279-017-0788-x
・International University Strength and Conditioning Association. (2021). Resistance Training Recommendations to Maximize Muscle Hypertrophy in an Athletic Population: Position Stand of the IUSCA. International Journal of Strength and Conditioning, 1(1). DOI: 10.47206/ijsc.v1i1.81
・de Salles, B. F., Simão, R., Miranda, F., Novaes, J. S., Lemos, A., & Willardson, J. M. (2009). Rest interval between sets in strength training. Sports Medicine, 39(9), 765–777. https://doi.org/10.2165/11315230-000000000-00000
・American College of Sports Medicine. (2009). Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults. Medicine & Science in Sports & Exercise, 41(3), 687-708. DOI: 10.1249/MSS.0b013e3181915670